ある朝目覚めるとそいつは枕元に立ってた。どう見ても精子だった。性染色体は確認できなかったのだが、便宜的にそいつのことを彼と呼ぼう。彼の登場には何の必然性も無かったので、僕はいささか唖然としていた。しかし、ゆらゆらと動く彼を眺めていても埒があかないと、僕にしては実効的な判断をし、とりあえず「おはよう」と言うと、彼はいささか居心地が悪そうに「おはよう」と言った。それから僕は彼の為に朝食を作ることにした。「君は結構、量を食べる方かい?」と聞くと、「精子にしては、食べる方かな」と、簡潔な答えが返ってきた。そこで僕は戸棚から400gほどパスタを取り出し、昨日買っておいたホールトマトの缶詰でソースを作って二人分のスパゲティを完成させた。無言のまま朝食を食べ終えると、彼は少し赤みがかっていた。
「赤く染まった精子って言うのは、何かの暗喩かい?」
「例えば?」
「例えば、そうだなあ、君が処女性を重んじる古風な精子であることのメタファーであったり、あるいは共産主義的精子であることを表現していたり」
「ちょっと待ってよ。共産主義的精子って言うのは一体何のことだ」
「さあ、思いつきでしゃべっただけだからね。多分、同時に卵子に突撃して一斉に受精したりするんじゃないのかな」
「そんなことをしたら、染色体数がおかしなことになるね」
「うん」
「せっかく減数分裂したのに」
「うん」
「まあでも、1億の精子が一斉に受精するなんて、ちょっと壮観だろうな」
「だね、あはは」
僕が紅茶の用意をする為に、コンロの前に立つと、彼が僕の背中に向かってぽつりと言った。
「僕は処女性を重んじる精子だ」
「へぇ。じゃあ処女の女の子とセックスした時にだけ、君は受精するんだ」
「うん」
「じゃあ、なかなか機会があるって訳でも無さそうだね。活躍のさ」
「そうでもない」
ふうん、と僕は思った。ティーバッグを入れた二つのマグカップにお湯を注いで振り返ると、彼はもういなかった。
僕はテレビをつけて、しばらく処女の女の子とのセックスについて考えてながら2杯の紅茶を飲み干したが、一向に一対のおっぱいがふわふわと現れる気配はなかった。世界は、そんなに上手くは出来ていない。
コメント (2)
本当にありがとうございました。
投稿者: p-man | 2005年11月23日 13:43
暇だったので最近のp-manのコメントを抽出してみた。
>本当にありがとうございました。
>どう見てもサンプルです.
>本当にありがとうございました.
>popai正会員めざしてがんばります
うはwwwwキチガイキタコレwwwwww
投稿者: negipo | 2005年11月23日 14:30