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狂人日記3

先日の上着はどうでしたか、と、うなぎが僕に言うのだ。僕はそれを適当に流しながら車に乗り込んだ。うなぎは勝手に助手席に乗り込んで来てしつこく、やはり上着の調子を聞く。そもそも僕は彼女から上着なんて貰っていない。何かの間違いじゃないのかと逡巡する間もなく、目的地に到着し、最早何も言わなくなった僕に対しうなぎは繰り返し繰り返し上着の調子を聞く。「あの上着はですね、実はDiorによるデザインを模倣して作られたものなんですよ。しかしながら材質は上質のうなぎの皮であって、その辺を盛り込む為にデザイナーは独自の工夫を凝らして、あの上着を作り上げたのですよ。根岸さん、着心地はどうでしょう。できるなら私が着てみたいものですよ。うらやましいなあ」うるさい。
研究室についてiBookを広げ、ターミナルを立ち上げてコマンドをいくつも打ち込む。エディタに映し出された文字を眺めている僕の耳元で、うなぎは相も変わらず間断なく喋る。「何と言っても皮が使われる事によって、その上着のうなぎ性と言うものが完全に補完されるのです。根岸さんがあれを着る事によって、メタファーとしてのうなぎが」うるさうるさいうるさしうるさいあい

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