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ヘアピン

女性とは頭部から始終ヘアピンを落としながら生きる生き物らしく、ベッドサイドやら台所やら、果てはトイレの中にまでヘアピンを残して去って行く。ヘアピンの値段と言うものは我々のような愚鈍な生き物には理解出来ないので、とりあえず落とし主が現れるまで保管しておくのが身の為であると判断した僕は、部屋のサイドテーブルに専用の容器を用意してそれらを集積し続けている。
転居準備に家具を処分していると、その下や裏から大量のヘアピンが発見され、僕の可哀想なヘアピン倉庫は一杯になってしまった。映画に飽いて暇になった僕はそのヘアピンを一個一個頭に着けてへらへらと笑う。全部を着け終わると僕の頭は気の違った老科学者のように逆立った。2時間後、ヘアピンを頭に着けた事をすっかり忘れたまま待ち合わせ場所に車を着けると、乗り込んできた女の子はいつにも増して味わい深い表情をした後、僕の頭に着いたヘアピンを無言で一つずつ引っこ抜いた。ぷつん、ぷつん。

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コメント (2)

これ好き。
なぜこの文章に対する称賛のコメントが一つも付いてないのか理解できん。
もしかしたら個人的なヘアピンに対する感情の所為で良く見えただけかもしれんが。

最後の一文は全くその通りだと思います。こういうタイプの文章は情動を揺り動かすために書いていて、その効果は読み手の経験に依存している部分が大きいですから。
何にせよ気に入って頂けてすごくうれしいです。ありがとうございます:)

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