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火星の運河

ノブが江戸川乱歩の4つの短編を映像化した"乱歩地獄"を持っていたので、"火星の運河"だけを見た。
火星の運河の原作を読んだことがない上に、映像も抽象的すぎて訳が分からない。簡単なあらすじはこの辺を見てもらうとして、所感を書いてみる。
性的暴力には一家言ある僕でさえ、この映像作品で描写された性的暴力は少しヒく程の説得力を持っていると思う。画面には無音の暴力と浅野の心象風景が交互に登場し、やがて現れた精神的な小さな沼へと到達すると、心象世界の浅野の姿は恋人の姿に変化し、轟音の中で苦しんで、突っ伏して、動かなくなる。そこで現実の浅野は目が覚める。と言う訳で、この作品のテーマは恋人との共体験で、性的暴力である。
小さな沼はどこにも行けない、吹き溜まりを象徴する。心象世界で、そこに残された人間は死ぬ。延々と苔むした荒野を歩き、荒野でないものを発見し、そこに溜まって死ぬのだ。浅野はそのように恋人に死を提供し、ある意味ではその性的体験によって自らの一部を殺すのだ。セックスは一般に"小さな死"と言い換えられるが、この作品で表現されているセックスは、性的暴力と言う名の殺人と自死だ。

まあなんだかんだ言ってこの作品は訳が分からない。訳が分からんなと思ってWEBの解説を読んだ。性的暴力は近い過去の現実か遠い過去の現実か、それすらも浅野の心象風景なのか(そのような欲求から派生した物語なのか)、何だかその辺の極めて基本的なことすら読み取れなかったので(現実とその他を無音轟音で分けてくれれば分かり易かった)、ここまでくると原作付き映像作品と言うよりは僕に分類出来ないおかしな芸術作品と言うカテゴライズになる。

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