根岸家のパーティは実に壮大な規模で開催される。会場は文京区の瀟洒なホテルのホールを借り切って毎回50名程が集まる。メンバーは政府筋の人間が主だが、時折家族が友人を連れてくる。
今日のパーティでは僕は彼女を連れて行った。彼女は古いカーテンのような赤いビロードのスカートを履いて来た。待ち合わせた場所から歩き出し、僕はとりあえずそのスカートを褒めた。彼女が着るとそのような服でも、10年かかって部屋に染み付いた香の匂いのようにしっくり来るのだ。褒めながら彼女の下半身をじいっと眺めていると、ヘムラインの凝った装飾や中世風の見たことも無い柄が、性欲を司る僕のささやかな脳部位を刺激していることが感じ取れた。下半身。脚。
車で会場に着き、僕らはエントランスを抜けてホールへと向かった。入り口近くにいた家族に彼女を紹介し、数分談笑していると、若い男がやってきて「義輝君、そちらはお連れの方ですか」と僕に話しかけた。
僕が返事をするやいなや、その男は抜き手も見せず、一刀のもとに彼女を切り捨てた。彼女の首が転がるまで、男が長刀を持っていたことすら気がつかなかった。切り口からはヒューと言う音と共に様々な気体・液体が吹き出し、やがてそこら中にあるものにびたびたと付着して行ったが、僕はぼうっとして、さっき褒めたスカートや絨毯がさらに赤くなって行くことには全く気づかなかった。
ややあって、彼女は首だけのままどうやってか這いずり出した。僕は思考力を無くしたまま、とりあえず彼女に手を貸した。首と、身体の、どちらが彼女の本体であるかは皆目見当がつかなかった。
「だいこん、だいこん」と彼女が言うので、僕はふろふき大根がセッティングしてあるテーブルに彼女を置いた。彼女は口だけで器用に大根を食べ、そしてにっこりと笑った。
コメント (5)
人参じゃなくだいこんってところが素敵。
投稿者: ふー | 2006年12月11日 11:55
人参を丸のまま使ってる料理が思いつかなかったんだ。
それに大根足だし。
投稿者: negipo | 2006年12月11日 13:41
ノーコメントで
投稿者: kyota | 2006年12月12日 00:47
ノーコメントで
投稿者: kyota | 2006年12月12日 00:48
二回も言わなくていいよ笑
投稿者: negipo | 2006年12月12日 11:59