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二匹目の犬

「二匹目の犬、二匹目の犬、二匹目の犬」
そううわごとのように繰り返す彼女は既に彼女では無かった。院棟前のアスファルトを手で掘ろうとし、手指の爪が少しずつはがれて行くのを一顧だにせずただひたすらがりがりと削る。僕には彼女が狂ってしまったとしか思えなかったので通りかかった人と一緒に彼女を押さえつけ119を携帯でコールしたが、繋がらなかった。119に繋がらないと言う状況を想定していなかったので、僕はとりあえず閉口した。僕が閉口しているうちに先程彼女を抑えてくれることを手伝ってくれた彼、いつの間にか少し離れた土を掘っている。僕は聞いた。
「何をしているのです」
「当然だ、二匹目の犬を探している」
二匹目の犬。誰も抑える者の居なくなった彼女は相変わらずアスファルトをがりがりと二匹目の犬探しだ、そもそも二匹目の犬とはなんなのだ。


ああそうだ二匹目の犬とは二匹目の犬であった来世でより良く生きる為にあるのだこの世で二匹目の犬を探せば一匹目が死んでしまったとしても来世でより良い道を示してくれるのだ「そこのアイテムは使えるよ」「王様の言うことはよく聞いておいた方が良いよ」二匹目の犬がいれば僕の来世は安泰だこの世とは来世の為に二匹目の犬を探すためにあるのだそしてそれを探し出し早く死ねば良い。

そう言う訳で僕、爪が全部はじけ飛び指の長さが半分になった今もごりごりとアスファルトを掘り返して二匹目の犬を探している次第です。

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